下松ラーメン 1/7

下松市は全国でも珍しい牛骨醤油ラーメンの集積地

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下松ラーメン

日本全国1億人のラーメン・ファンの皆さんこんにちは!山口県下松市(くだまつし)は全国でも数少ない牛骨醤油ラーメン、通称「下松ラーメン」のお店がたくさんある街です。地元民にとってはこの味が“当たり前、普通、デファクトスタンダード”であり、特に意識することなくただ単にラーメンまたは中華そばと呼んでいます。

しかし、他のエリアの方からは“珍しい牛骨醤油ラーメン・ゾーン”として認知されつつあり、ご当地ラーメン・ファンの間で下松ラーメンという呼び名が広がってきました。最近では他県からも下松ラーメンを食べに来てブログで紹介する方も増えています。

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●紅蘭(こうらん)

紅蘭

まずは、下松ラーメンの元祖の店「紅蘭」です。1952年(昭和27年)、JR下松駅南口のロータリー近くに創業したお店です。最初はこじんまりしたお店でしたが、今は40席以上の大きくてきれいなお店になりました。場所は近場を2回移動し、写真の店舗で3店目です。創業の場所は再開発され、今はツインスター下松駅南グリッツァというマンションビルが建っています。紅蘭は支店展開やのれん分けをしていない、この店のみの営業です。昼時や土日の夜にはお店の前に行列ができる人気店です。この店の味が地元民に支持されて、牛骨醤油味のラーメンが下松に定着しました。

紅蘭の中華そば

これが下松ラーメンの基本中の基本、紅蘭の中華そば 小(麺1玉)500円です。通常の普通盛りにあたります。どんぶりからは下松ラーメン独特のほんのりとした、しかしエッジの利いた良い香りがします。いわゆる牛骨醤油の香りなのですが、知らないで食べると牛の存在にはほとんど気が付かないと思います。地元でも牛骨スープだというのを知らない人は結構多いです。チャーシューは豚です。麺はストレートの中太・低加水タイプ。麺自体がスープをよく吸い、しかもスープに少し粘度があるので味がよく絡まります。

まず、おもむろに箸で麺をほぐして、フーフー。で、筆者は麺から行く派なので、いきなりズズーっと麺をすする。醤油と国産牛が渾然一体となった味を感じます。ひと噛みするともやしの風味がパッと来て、歯切れの良い麺を噛みしめるごとに、これぞ中華そばといううまさが広がります。飲み込んだ後にも舌の奥にうま味の余韻が残ります。醤油が勝っているわけではなく、牛骨が勝っているわけでもない。麺、モヤシ、ネギ、チャーシューのどれも控えめな存在です。全てが一つにまとまった紅蘭の味です。ちなみに下松住民は、中華そばとラーメンを明確に使い分けてはいませんが、中華そばというと「麺がストレートで醤油系、昔から地元にあるラーメン屋で出されるもの」というイメージを持っています。

一般的に、ラーメンスープのうま味は肉・魚介系の素材からから取れるイノシン酸(核酸の一種)を中心に、昆布や野菜などから取れるグルタミン酸(アミノ酸の一種)を合わせたものが多いようです。それぞれ単体で味わうよりはるかに強いうまさを引き出しています。日本料理で鰹節のイノシン酸と昆布のグルタミン酸を合わせて出汁を作る手法に似ています。「料理の鉄人」で道場六三郎が必ず使っていた、番組で「命の出汁」と呼ばれていたアレです。牛骨からは質の高いイノシン酸系のスープが取れますが、単体では非常にうすい味です。下松ラーメンは牛骨をベースにして、各店がいろいろな材料を加え、微妙に異なるアレンジをしているようです。

紅蘭のチャーシューメン

紅蘭のスープは半透明の醤油色で、表面に溶けた脂が薄く浮かんでいます。このラーメンを脂っこいという人もいますが、実は脂自体はそんなに多くありません。スープがまったりとしていて重量感があるのは、大量のコラーゲンが溶け込んでいるからです。スープを冷蔵庫で冷やすと、プルンっとしたゼリー状に固まります。この時、分離されて固まる牛脂は大さじ1杯程度。スープを全部飲み干したとしても、サシが入った牛肉をしっかり食べる量と比べて、それほど脂が多いというほどではないと思います。

昔の香蘭は脂がもっと多くて味も濃かったように記憶していますが、今は少しあっさり目になっています。でもそれは注文する時に「脂多め、麺硬め」のようにお好みで注文できます。また、下松ラーメンの特徴であるスキヤキのような甘味は地元産の醤油から来るものと思われますが、紅蘭の場合はテーブルにある「濃いくちスープ」で調整できます。これを入れると味がキリっとした濃い味になります。よくあるラーメンのかえし(スープのタレ)ともちょっと違う代物です。


↑家庭で作る牛骨下松ラーメン(YouTube 2分)

●東京の牛骨ラーメン

宗家一条流がんこ八代目

東京では牛骨ラーメンというとがんこ系ラーメンが有名です。一条安雪(いちじょう やすゆき)さんが1982年頃に牛テールスープに着目し工夫を加えたラーメンです。スープの出来が悪い日には店を開けないという徹底ぶりです。写真はがんこ系のひとつ「宗家一条流がんこ八代目」(末広町)のお店。

店先の牛骨

店先の牛骨が営業の印です。がんこ系のお店はマナーにうるさいので、いろいろ注意書きが入口に書いてあります。ドアにはノブがありますがスライド・ドアです(笑)

がんこラーメン醤油コッテリ

醤油コッテリ700円。うっすら醤油色に染まった澄んだスープに、豚の背脂が浮かんでいます。チャーシューがでかい。このチャーシューは出す直前にハンディ・バーナーであぶってくれます。がんこ系のお店は塩分が強く、麺硬めが基本スタイルです。インパクトを重視する味です。筆者は下松ラーメンを食べるとホッとしますが、がんこラーメンを食べるとテンションが上がる気がします。同じ牛骨ラーメンとはいっても、方向性が異なる全く違うラーメンです。なお、がんこラーメンのスープには牛骨だけではなく鶏、煮干、干し海老、スルメ、リンゴ、コンブなどと多岐に渡る素材が使われているそうです。ちなみに家元といわれていた一条さんは、早稲田にあった総本家の店を閉め、今は覆麺 智という洒落が利いた店を始めています。

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下松(くだまつ)ラーメンと鳥取ラーメンの違い

日本ではたった2か所しかない牛骨ラーメンの集積地、下松と鳥取。両地の牛骨ラーメンは独自に発展したもので歴史的なつながりはない。

味の違いは、下松ラーメンの方が甘味があり、鳥取ラーメンはすっきりとした味わいというところ。

鳥取牛骨ラーメン

鳥取県中西部に約20店の牛骨ラーメンメインの店があり、一般のレストラン等も含めると県下に約80店の牛骨ラーメンを出す店がある。もともと鳥取の大山の麓には、日本三大牛馬市、西日本で言えば最大の牛馬市である博労座(ばくろうざ)があり、安価に牛骨が手に入る背景があった。

鳥取牛骨ラーメンのルーツは諸説あるが、米子市の満洲味(ますみ)が 昭和21年に創業したのが最初だと考えられている。満州(まんしゅう)で満鉄に勤めていた門脇氏(満洲味初代店主)が中国人のメイドに教えてもらい、その 味を日本に持ち帰ったそう。これが蘭州(らんしゅう)ラーメンだったといわれている。ただ満洲味は牛骨・豚骨ミックスの出汁を使っている。

蘭州ラーメン

中華人民共和国甘粛省の蘭州市には3,000軒以上の蘭州ラーメン(牛肉麺)を出す店があるという。蘭州は古くからシルクロードの要衝であり、満州時代は満鉄も通っていた。そう言えば、下松の日立製作所は満鉄の車両を作っていた。下松ラーメンのルーツである紅蘭には「蘭」文字が見える。いろいろな符号が一致してきた。

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